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月極駐車場の賃料改定・値上げ方法と既存契約者への進め方
この記事の想定読者: 月極駐車場を自主管理しており、契約中の利用者の賃料を近隣相場に合わせて改定・値上げしたい方。
月極駐車場を自主管理していると、新規の募集賃料は近隣相場に合わせて調整できても、契約中の利用者の賃料は簡単には変えられないと感じることがあります。
借地借家法は、第一条・第二条で、建物の所有を目的とする地上権・土地の賃借権(借地権)と、建物の賃貸借を適用対象としています。建物の所有を目的としない契約は借地権に該当しないため、区画を使わせるだけの月極駐車場契約は同法の適用対象に当たらない場合がありますが、これは契約の実態によって判断が分かれ、一律に決まるものではありません。適用対象に当たらない場合、賃貸住宅のサブリースで働く同法の賃料増減請求権は及ばず、値上げは契約書の改定条項と利用者との合意が土台になります。通知を送るだけで新賃料が確定するとは限りません。
この記事の結論
- 適用される法律
- 契約条項+民法(借地借家法の適用は契約実態による)
- 値上げ幅の目安
- 近隣の新規募集賃料が基準
- 通知から実施までの目安
- 契約書の条項で確認
目次
駐車場契約と借地借家法の関係を確認する
月極駐車場の契約書で貸主が確認する項目で触れたとおり、国税庁の質疑事例は、土地そのものの賃借権を設定する契約と、一定の区画へ特定車両を有料で駐車させる契約を分けて扱っています。この税務上の区分は借地借家法の適用可否を直接裏付けるものではありませんが、区画の利用契約という性質は共通しています。
借地借家法には、地代の増減を認める第11条(地代等増減請求権、借地権に適用)と、建物賃料の増減を認める第32条(借賃増減請求権、サブリースがトラブルになる理由の記事で解説)があります。どちらも、一定の期間は増額しない旨の特約がある場合を除き、契約の定めより優先して適用される仕組みですが、建物の所有を目的としない駐車場契約が借地権にも建物賃貸借にも当たらない場合は、この2つの請求権のいずれも及ばない場合があります。値上げの根拠は、まず契約書に定めた改定条項、それがなければ利用者との合意になります。
契約が、建物の所有を目的とする土地の賃借権(借地権)に当たるか、区画の利用契約に当たるかは、契約書の記載内容や契約の実態によって判断が分かれます。自分の契約がどちらに当たるかを自己判断せず、契約書を持って弁護士へ確認してください。
値上げ幅は新規募集賃料との差から考える
8台・現行賃料9,000円を新規募集10,000円へ合わせる場合の増収額
サイト内の暫定係数である稼働率85%を使った仮定です。
- 現行賃料での年間賃料 = 8台 × 9,000円 × 12か月 × 85% = 73.4万円/年
- 新賃料での年間賃料 = 8台 × 10,000円 × 12か月 × 85% = 81.6万円/年
- 差額 = 81.6万円 - 73.4万円 = 8.2万円/年
この差額は全区画が新賃料へ切り替わった場合の目安であり、実際には値上げ後に解約する利用者が出る、切り替え時期が区画ごとに異なるといった要因で変わります。月極駐車場の料金の決め方で説明した近隣の募集賃料の調べ方をあわせて確認し、値上げ後の賃料が周辺の新規募集価格から大きく外れないようにします。
あなたの土地は、どう活用できる?
連絡先の入力不要
現在の賃料と台数で年間収入を概算する値上げ幅を大きくしすぎると、値上げに応じず解約する利用者が増え、空き区画が長引くことがあります。新規募集賃料に近づける、複数回に分けて改定するなど、解約と空き区画のリスクを踏まえて幅を決めます。
通知の伝え方と実施までの流れ
契約書に改定条項がある場合は、その条項が定める予告期間・通知方法・改定の基準に従います。条項がない、または内容があいまいな場合は、次の点を伝える通知を用意し、利用者の同意を得る流れが一般的です。
- 改定理由(近隣相場の変動、周辺の新規募集賃料との差など)
- 新賃料と適用開始日
- 予告から適用までの期間(契約書に定めがなければ、利用者が対応を検討できる期間を確保する)
- 応じられない場合の連絡先・相談窓口
書面(郵送・ポスト投函・メール等、後で送付事実を確認できる方法)で通知し、口頭だけで済ませないようにします。実際の通知文面は契約内容によって変わるため、雛形をそのまま使わず、自分の契約書の条項と照合してください。
新規募集分と既存契約者で賃料が違う状態への対応
値上げを新規募集分から先に反映し、既存契約者は契約更新のタイミングで段階的に合わせるという進め方もよく取られます。この場合、同じ駐車場内で複数の賃料が一時的に併存します。
利用者から賃料の差について問い合わせがあった場合に説明できるよう、いつから、どの区画に、どの賃料を適用しているかを記録しておきます。月極駐車場の管理委託費用で説明した管理会社への委託を検討している場合は、賃料改定の通知や交渉も委託範囲に含まれるかをあわせて確認してください。
まとめ: 改定の根拠を契約書と合意に置く
この記事は2026年9月時点の一般的な確認項目です。個別の契約が借地借家法の対象に当たるかどうかを含め、契約条項の解釈や値上げの実施方法は弁護士など専門家にご相談ください。