古家付き土地は解体して売る?現況のまま売る?費用で比較
古い家が建ったままの土地を売る場合、「解体してから更地で売る」か「古家付きのまま売る」かで、費用の負担者と適用できる制度が変わります。価格の交渉材料にされやすい問題でもあるため、契約前に費用と制度の両方を確認しておく必要があります。
解体を発注する前に、古家付きの査定額、更地にした場合の査定額、解体見積額の3つを同じ時期にそろえます。更地査定額から解体費と売却までの保有費を引き、現況査定額との差を見れば、解体を先行するか判断できます。
- カテゴリ
- 売却・整理
- 公開日
- 公開
- 更新日
- 更新
- 執筆
- 執筆 トチシミュ編集部
この記事の結論
- 木造30坪の解体費目安
- 90〜150万円+付帯工事
- 空き家特例の解体条件
- 原則、譲渡前に完了
- 解体後の固定資産税
- 住宅用地特例が外れる
目次
2つの売り方と買主の違い
古い家が建った土地を売る方法は、大きく2つに分かれます。
- 現況のまま(古家付き)で売る: 解体費用を負担せずに済むが、老朽化の程度によっては買主が減額交渉や解体前提での指値をしてくる
- 解体して更地にしてから売る: 解体費用を売主が先に負担するが、買主の選択肢(自分で建てたい人・すぐに活用したい人)が広がり、価格交渉がしやすくなる場合がある
どちらが有利かは、想定される売却価格の差、解体費用の見積もり、売却までにかかる期間で総合的に判断します。空き家対策の考え方は国土交通省「空き家対策 特設サイト」でも、家屋の状態と今後の使い道を早めに整理するよう案内されています。
前面道路や接道長から再建築不可と説明されている場合は、解体判断より先に建築基準法43条の接道確認と活用・売却の判断手順を参照してください。
解体費用の目安と、売却額で比較する考え方
木造住宅の解体費用は、坪単価3〜5万円が目安です。30坪の建物であれば本体解体費は90〜150万円程度で、これに加えて塀・庭木の撤去、地中埋設物の処理などの付帯工事費が別途かかります(この費用感は実家解体後の駐車場と固定資産税の記事と同じサイト内の整理です)。
解体費150万円を仮定した場合の売却額比較例
以下は判断の考え方を示す仮定例で、実際の価格差・解体費は個別に見積もる必要があります。
- 現況のまま売った場合の想定売却額: 1,500万円(老朽化を理由に買主から100万円の値引き交渉があったと仮定)
- 解体して売った場合の想定売却額: 1,650万円(更地により買主の選択肢が広がったと仮定) − 解体費150万円 = 売却額から解体費を引いた概算1,500万円
この例では両者の売却額(解体費差し引き後)がほぼ同額になりますが、解体には数週間〜数か月の期間がかかり、その間の固定資産税・管理費も発生します。また、どちらの売り方でも譲渡所得税は別途かかり、この比較には含めていません(税額の計算方法は後述します)。保有を続ける間の税・管理・交通費を項目ごとに出したい場合は土地の維持費を計算する記事のツールで概算できます。想定価格差が解体費を上回るかどうかは、近隣の更地・古家付き土地の販売実例を不動産会社に確認してから判断してください。
連絡先の入力不要
解体前提でこの土地の活用収入も比較する空き家の3,000万円特別控除は解体の時期が要件になる
相続した空き家を売る場合に使える「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」は、国税庁のタックスアンサーによれば、更地で売る場合は原則として譲渡の時までに家屋の解体が完了していることが要件です。買主が引き渡し後に任意で解体しても、この特例の対象にはなりません。
2024年1月1日以後の譲渡については、国土交通省の案内にあるとおり、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修または解体を行った場合も対象に加わる例外があります。ただし期限内の実施が条件であり、無条件に買主任せにできるわけではありません。
家屋付きのまま売る場合は、売却時点で一定の耐震基準を満たしていることが要件です。古い建物ほど耐震基準を満たさないことが多く、その場合は家屋付きでの特例適用が難しくなります。
解体すると固定資産税の負担が変わる
建物を解体すると、その土地にかかっていた住宅用地特例が外れます。固定資産税・都市計画税は毎年1月1日時点の現況で決まるため、年内に解体すると翌年から税額が上がる点に注意が必要です。仕組みと計算例は実家を解体すると固定資産税6倍は本当かの記事にまとめています。売却までに時間がかかりそうな場合は、解体のタイミングを年をまたいでずらせないか、自治体窓口で確認しておくと想定外の税負担を避けやすくなります。
契約前に確認しておくこと
解体するかどうかにかかわらず、売却契約の前に次を確認しておくと後のトラブルを避けやすくなります。
- 境界が確定しているか(未確定のまま売却を進めると引き渡し後にトラブルになりやすい)
- 地中埋設物(古い基礎、浄化槽など)の有無と撤去費の負担者
- 解体する場合の残置物(家財)の処分費用と負担者
- 売買契約における契約不適合責任の範囲
境界が確定していない場合の進め方は土地の境界が未確定のまま売却する記事で解説しています。相続した実家について残す・売るを含めた選択肢全体は実家じまいで土地を残すか売るかの記事で整理しています。
制度の内容は2026年7月26日に確認した公表情報に基づきます。特例の適用要件、税額、解体費用は個別事情で変わるため、税務署・自治体窓口・不動産会社・解体業者へ確認してください。